(読書感想)日本の教育、どうしてこうなった(著者:児美川孝一郎・前川喜平)
「日本の教育、どうしてこうなった 総点検・閉塞30年の教育政策」を読んだ。
この本は、著者・児美川孝一郎氏(法政大学キャリアデザイン学部教授)と前川喜平氏(元・文部科学事務次官)との対談形式で書かれていて読みやすい。
児美川氏が桐朋高校卒、前川氏が麻布高校卒。自由闊達な校風という点で共通する。
教育政策のありとあらゆる内容が盛り込まれていて、内容豊富で読みごたえがある。
私のような教育の素人でもこの本を読んで、ここ30年の教育政策の流れが理解できた。
とにかく、教育について現状が詳しく報道されることが少なく、自分から取りに行かないとなかなか現状を知ることができない。
現行の学習指導要領は書き込みすぎ
この本にはいろいろなことが書いてある。
現行の学習指導要領は「書き込みすぎ」とのこと(最新の「学習指導要領」が、「絵に描いたモチ」になってしまっている意外な理由)。
「書き込みすぎ」の学習指導要領を教育現場が忠実に再現しようとしているから、教育現場の仕事量が膨大に増えているのだろうか。
また、前川氏は学校教育への株式会社の参入に反対だと述べている。学校教育には株式会社の参入を反対する人がいるのに、就学前教育(保育園)には株式会社がすでに参入していることが残念でならない。
経産省は廃止すべき
そして前川氏の「経産省は廃止すべき」という意見が印象に残った。
前川氏いわく、経産省以外の省庁にいる官僚はみんなそう思っている、とのこと。
経産省の官僚はそこそこ優秀だけれど経産省自体に仕事がなくヒマだそうで、経産省が他の省庁の仕事に首を突っ込んでくるらしい。
文部科学省も例外ではなく、経産省が教育に乗り込んできている。
「未来の教室」事業というのは経産省が主導している。そういえば、産学連携というのも経産省が主導して、大学に経産省が乗り込んできたものだった。
前川氏は『経産省を大幅に縮小し、文科省から科学技術庁を切り離して特許庁とくっつけて、経産省は科学技術行政とイノベーションを専門にすればよい』と述べている。なるほど、良い案かもしれない。
日本の教育、どうしてこうなった 総点検・閉塞30年の教育政策
著者:児美川孝一郎・前川喜平
初版:2022年
大月書店
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