酷かった応援 夏の全国高校野球選手権「慶応ー仙台育英」
昨日は、夏の甲子園大会の決勝「慶応ー仙台育英」戦を観ていた。
連日暑い日が続く中で決勝まで勝ち上がった両校の選手にはお疲れ様ですと伝えたい。
慶応側の応援があまりにも酷かった。
決勝戦なのに、とても残念な試合だった。
慶応の攻撃中、仙台育英の外野手ふたりが接触し落球したのを見て、途中でテレビを消し試合を観るのを止めた。
レフトとセンターの間・センターとライトの間に打球が飛んできたとき、通常ならば補球する際、隣り合う外野手が声をかけあってどちらが補球するかを決める。
しかし…慶応の大応援団の大音声にかき消されて連携の声が聞こえず、外野手が落球してしまった。
仙台育英クラスの守備ならば、通常は補球できるような打球だった。
試合運営に影響を及ぼすほどの大応援団を引き連れて甲子園に乗り込むのはいかがなものか。
仮に、宗教系高校が信者を動員して同じような大応援団を形成したならば、もっともっと叩かれただろう。
103年ぶりの甲子園出場でOBの心が躍るのも理解できるが、大応援団がスタンドに乗り込んで圧をかけるような応援をするような試合は、高校野球ではもう観たくない。
慶応の選手とて、対戦相手が味方の大応援団のせいで集中力が失われてミスをしたから優勝できたのならば、優勝の喜びはその分薄れるだろう。
対照的に、昨日の試合では仙台育英の4番・斎藤陽選手が左方向・右方向に器用にファールを打ち分けているのが印象的だった。こういうバッティングセンスは、頭を使ったからといって身につくものではない。こういう一芸に秀でた選手を発見できるのも夏の甲子園の魅力のひとつだ。
高校野球はトーナメント戦である
総当たりのリーグ戦である六大学野球ならば、大学野球独特の応援も理解できる。
けれども、高校野球はトーナメント戦である。1つのミスが致命傷になるのだ。
慶応高校は今回の甲子園出場に際しネット上でも寄付を呼び掛けていた(寄付金の目標額は6,000万円)。
保護者が富裕層の子弟が多いといわれているこの高校、応援にふんだんにお金をかけて甲子園で大騒ぎする様子は正直、観ていられなかった。
疑惑の判定
慶応高校は今年の神奈川県大会・決勝の対横浜高校戦で、勝利目前だった横浜高校の内野手の守備がセーフと判定されたところから逆転して甲子園出場を決めた。
慶応高校の選手たちには何も非がないことだが、そういう経緯があったのだから、もう少し謙虚になれないものか。
そして、すでに神奈川県大会の予選の段階から、某有名・元プロ野球選手の子弟が慶応高校野球部に所属していることが繰り返し報道されてきた(繰り返し言うが、この子弟に非は何もない)。
要するに、予選の段階からマスコミは慶応高校寄りの報道をずっと続けてきたのだ。
「エンジョイ・ベースボール」は実現可能か
今回、慶応高校の方針「エンジョイ・ベースボール」が繰り返し取り上げられて報道された。
ただ、慶応高校の野球部員が丸刈りではないのは今に始まったことではない。
私が高校生の頃、つまり40年近く前から、慶応高校の野球部員は長髪だったと記憶している。
昨今「封建的・時代遅れ」だとして少年野球の人気が低迷し、こどもたちの野球離れが進んでいる。
野球界と一体不可分の関係にあるスポーツマスコミ業界も、そういう雰囲気を払しょくさせて、こどもたちの野球離れを防ぎたいのだろう。
ただ「エンジョイ・ベースボール」=「新しい時代の野球のあり方」みたいなマスコミのイメージ戦略に違和感を持った。
慶応高校と同じ方式「エンジョイ・ベースボール」をすぐさま導入できる野球強豪校ばかりではないと思う。
慶応高校の推薦制度
慶応高校は推薦制度で野球部員を採っている(注:推薦制度は野球部限定ではない)。
ただ、推薦に応募する基準として、相応の内申点が必要であり、推薦制度で慶応高校に合格するのは楽ではない。
というか、野球も学業もそれなりに高いレベルが求められる。かなり難関である。
慶応高校の募集要領には、2023年4月入学生について「出願時において中学3年次の9教科の成績合計が5段階評価で38以上である者」とある。
つまり、9教科のうち内申5が少なくとも2つ・残りが内申4でないと推薦に応募できない、ということだ。かなり高水準である。
野球ばかりやって勉強をしていない子が慶応高校の推薦入試に合格するのは不可能である。
慶応高校の「エンジョイ・ベースボール」・「頭を使った野球」を実践するためには、ある程度の学力が求められるということ。
「エンジョイ・ベースボール」は理想だろう。
けれども、慶応高校と同じやり方をそのまま、ほかの野球強豪校に導入できるとは到底思えない。
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